2007年04月

七年目の春

070408_140446_M.jpg私にとって世田谷公園の桜は、多摩川の花火と同じくらい、大好きな東京の景色だと思う。
なんと東京に住み始めて7年目なんだと、散り始めた桜を見ながら思った。途中抜けているけど。
去年の今頃は、帰国したという現実感が持てなくて毎日ふわふわと過ごしていた。貯まったマイルで沖縄に逃亡したっけ。
一昨年は会社を辞めたばかりで、来たるべき未来にワクワクしていた。
その前の年は・・・確か世田谷公園でぶっ倒れたダイスケに付き添って朝まで花見をしていた気がする。

6年間、苦手だった東京にすこしずつ慣れて、今ではここがホームになった。アメリカで就職することを考えて迷ったこともあったけど、今年もここで桜を見ている。
先日ボスに呼ばれて、いよいよ新しい仕事を任せてもらえることになった。去年はひたすらもがき続けた一年間だったけど、これから、ここに何かを残せるといいなと思う。

石川直樹という人

「この木を怒らせてはいけないし、悲しませてはいけない、てっぺんが見えないほどの巨木を前に、湧きあがる気持ちを押さえられない。」(闇 ニュージーランド)

1977年生まれ、冒険家そして写真家。中学生の時に青春18きっぷで日本中を旅して、高校生の時に一ヶ月間インド・ネパールを放浪。2000年には、世界中から集まった冒険家が北極から南極までを縦断するPOLE TO POLEに、日本代表として参加。チョモランマ登頂。熱気球による太平洋横断への挑戦。ミクロネシアで伝統航海術を学び、ハワイでホクレア号のトレーニングに参加。等等等。
書き連ねているだけで目が回りそうな経歴の持ち主である彼の文章はしかし、徹底的に優しさに満ち溢れている。

「春を待つ葉ひとつない冬の梅林の後ろ姿は静謐だった。来たるべき春夏秋冬のことをじっくり考えているのだろうか。」(春 修善寺)

自然を見つめる眼差しは、支配する奢りでも、翻弄される恐れでもない。ひとつの対等な存在として向き合う。命がけで、だけど愛情たっぷりに。
経験した人にしか書けない言葉があることを、触れた人にしか表現できない手ざわりがあることを、世界はめちゃくちゃ広くて私たちはほんの一部しか見ていないことを、久しぶりにものすごく考えました。

「ぼくはシロクマと向かい合った瞬間の風景が忘れられない。それは単なる記憶の断片というよりは、今見えている世界が、世界のすべてではないということを思い出させてくれる大切な風景として時おりふっとよみがえることがある。」(シロクマ 北極)

(「全ての装備を知恵に置き換えること」石川直樹著より)

Naoki Ishikawa Official Site

「僕たちは世界を変えることができない」

峯田和伸は、私にとって理想の男の子だ。男、ではなく、少年でもなく、男の子。
彼のファンという訳じゃない。GOING STEADYを聴いたのは解散してからだし、銀杏BOYZのライブに行ったこともない。だからこの作品を観にきた多くのファンにとって馴染みのある彼らの歴史も、私には初めての話だらけだった。

ストーリーは、GOING STEADYが突然解散を発表した、2003年1月15日から始まる。

峯田和伸を知ったのは、映画「アイデン&ティティ」で。それからCDを聴き始め、ブログを見るようになった。彼の文章からは、ふるえるように繊細な人柄が垣間見える。と同時に、呆れるほどお馬鹿でお下劣なことばかりしでかしている。恐ろしく凶暴で、剥き出しに純粋な、男の子。
「僕たちは世界を変えることができない」で見つけた峯田和伸の新たな一面。それは、お山のガキ大将。いたずらを考えついてはしゃぐ峯田。納得のいかない演奏をするメンバーに怒りをぶつける峯田。ステージの上の、あの得意そうな顔。神がかったように歌う、叫ぶ、声を枯らす。
「アイデン&ティティ」の彼が大好きだったけど、こうやって見ると、主演俳優として映画のフレームの中にいる彼は、いつもちょっとだけ居心地が悪そうだ。楽しそうだし幸福そうだけど、いつもちょっとだけ照れている。だから観ていて切ない気持ちになるのかもしれない。
反対に、仲間と悪ふざけしている時、ライブで演奏している時の彼は、とてつもなくいい顔をしている。

この作品は、2005年1月15日に銀杏BOYZのアルバムが発売されたところで終わる。エンドロールが流れた後、画面に浮かび上がるのは、「続」の文字。思わずにやりとしてしまった。彼らの旅は、まだまだ続くのだ。
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